特集「ち●こ漫画」

皆さんこんにちは。

先週は直属の上司がコロナ陽性という事で、休日も外出を自粛したりPCR検査を受けたりと何かと精神的に摩耗しました。

そんな衰弱した心に一つの清涼剤的な漫画を紹介していこうと思います。

事前にお断りをいたしますが、今回の特集はタイトルからも察していただけていると思いますが、男性器が多量に出てきますので、耐性の無い方は読むのをお控えください。

ーとは言ったものの耐性が無い人はこのブログにたどり着かないと思いますし、どちらかといえば読む場所に気を付けてと忠告しておいた方がいいでしょう笑。

閑話休題

さて、今回の特集は「ちんこ漫画」です。ここでご注意いただきたいのが「ちんこが出てくる漫画」ではなく「ちんこが主人公」の漫画という所です。

人間以外を主人公にした漫画は戦後発展してきた漫画では多々あります。例えば「ジャングル大帝」や「ぼのぼの」、「銀牙」などの動物もの。最近は「BEASTERS」が人気ですね。他にも「鉄腕アトム」や「Dr.スランプ」などのロボットものや「うる星やつら」「寄生獣」「ToLoveる」などの宇宙人ものというジャンルもあったりと、書き出したらキリがありません。

そんな中、今回とりあげる「ちんこもの」ですが意外(?)と少ないんです。なんと私の本棚には5作品しかありませんでした。他に情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご教示ください。

また「ちんこ漫画」とは対をなす(?)漫画として色々話題になった「生理ちゃん」もいつか紹介したいですね。

それでは、今回紹介する「ちんこ漫画」はこちらになります。

「ちんこ漫画」5選

・まるいぴよこ「風のちんころう」

・榎本俊二「えの素」

・駕籠真太郎「全ての時代を通しての殺人術」

・石川次郎「チンコマン」

・阿部洋一「それはただの先輩のちんこ」

上で挙げた漫画で1冊まるまる「ちんこが主人公の漫画」というものは、「風のちんころう」と「チンコマン」と「それはただの先輩のちんこ」の3作品となります。残った2作品は単発な話だったり、1エピソードだったりします。

では、それぞれ1冊ずつ内容を紹介していきましょう。

・まるいぴよこ「風のちんころう」
まるいぴよこ「風のちんころう」1992年講談社刊

「風のちんころう」は春夏秋冬と移り変わる季節の中、ちんころうが旅をする物語です。見た目はただの皮を被ったちんこなので、声も発しなければ表情もありません。しかし、身振り手振りで豊かに感情を表したり健気な姿をみているとだんだんと愛おしさを感じてきます。ちんころうは自分が何のために生まれ、何のために生きているのか、そんな答えを求めるかのように旅を続けます。旅先で燕に会ったり、全身にカビが生えてしまったり、女子高生のお姉さんに見つかったりと色々な経験をするちんころうですが、常に哀愁のようなものをまとっており、巣から落ちてしまった燕の雛を助けたりと健気な姿を見ていくといつしか感情移入してしまう不思議な魅力があるのです。

夏の章では、帰省で祖父母の家に泊まりに来ていたおさげのお姉さんに子供からいたずらされていた所を助けてもらった事で、ちんころうは淡い恋心をいただきます。しかし、次の日にはおさげのお姉さんは帰ってしまう事を知り、お姉さんが乗ったバスの後を必死に追いかける姿は心を締め付けてしまいます。そして物語の最後には詩が綴られ、それと相成って感情を揺さぶるのです。

バスに乗ったお姉さんを追いかけるちんころう

これは子供に読んで欲しい漫画です。ちんころうを5分アニメでNHKの教育テレビで是非とも放映していただきたいと願う今日のこの頃です。

・榎本俊二「えの素」
榎本俊二「えの素 完全版 中」2008年講談社刊

先ほどのちんころうとは打って変わってナンセンスギャグ漫画家としても有名な榎本俊二「えの素」を紹介します。えの素は私が小学生の頃に読んでいた週刊モーニングで連載されてた漫画です。登場する女の子も魅力的で葛原さん亮子ちゃんはお気に入りヒロインですから、いつか紹介させていただきます。

さて、本作はちんこ、うんこ、おしっこ、スペルマが出てこないコマがないほど下劣な漫画ですが、ちんこが主人公となるエピソードがあるのでそれを紹介しましょう。

ぐーたらで助平な郷介の事が好きな菖蒲沢ひろみは郷介が所属する清掃課への異動を社長へ直訴します。しかしけんもほろろに断られてしまった菖蒲沢が取った次の一手は、社長のちんこを切り落として人質にすることだったのです。ちんこを人質に取られた社長は「チンコ欠乏症」に陥ってしまい、死線をさまよってしまう結果になります。そしてちんこを奪還しようとする社長たちと菖蒲沢たちとの戦争が始まるのでした。

社長のちんこは切り取られた瞬間に自由意思を持って行動しはじめます。ちんころうの様にしゃべる事はできませんがとても感情豊かです。でもちんころうといい、あとで紹介する「それはただの先輩のちんこ」のちんこと共通する事ですがですが、なんで少し気弱でシャイな性格なんでしょうか笑。

いつしか「ペニー」と呼ばれるようになったちんこを巡って上へ下への大騒ぎになり、郷介や田村の暴走によって多くのちんこが切断されてるという大事にまで発展してしまうのです。葛原さんに自分の優柔不断な態度が騒動をここまで発展させたと諭され、ペニーは社長の元へ戻るかどうかの判断をすることになるのですが…。彼は自ら命を絶つ選択をし、爆弾を抱えてそのまま爆散してしまうのでした。

なんて感動的なんだろう。

ナンセンスギャグ漫画なのに最後は謎の感動を与えてくれるえの素は、ちんこ漫画だけでなく1作品としてオススメできますので是非、読んでみてください。

・駕籠真太郎「全ての時代を通しての殺人術」
駕籠真太郎「全ての時代を通しての殺人術」 2013年久保書店刊

本作は奇想漫画家として国内外で高い認知度を得た駕籠真太郎の作品です。基本的にちんこが出てこない事がない漫画なのですが、ちんこが主人公となるのは「全ての時代を通しての吸血術」という作品になります。

男の最近の悩みは彼女とセックスをするときに勃起しなくなってしまったのですが、普段全く反応しないちんこがギンギンに反応する日があったのです。どういうわけか彼女が生理の日に限って反応するようになってしまい、男は医者へ相談することにします。

医者は何を思ったのか男のちんこを見るや否やニンニクエキスのスプレーをかけたのです。するとちんこが断末魔を上げて暴れだしました。実は男のちんこへ擬態して寄生した吸血生物だったのです。この生物はちんこに擬態することで、女性とセックスする際に経血を吸血して生きているとの事でした。そしてこの吸血生物は元々吸血鬼の一族で、種族存亡の為に自らの身体を改造して生を繋いでいたという衝撃の事実が話されます。何故そんなに詳しいのか…。実は医者も寄生された一人だったのです。それを知った男を襲おうとした瞬間、どこからともなく大量のちんこが現れて助けてくれたのでした。

ちんことは共存共栄なのです。

彼らは平和に吸血をする種族の末裔で、医者に寄生していた暴力による吸血をする種族とは対立していたのでした。彼らに助けられた男は中々寄生先が見つからない彼らへのお礼として、彼女が生理の時に代わる代わる吸血させることにしたのです。

ここに登場するちんこは元々は人間(吸血鬼)というのがミソです。なので意志もあれば社会性もあって、言葉も発します。さらにフォルムが成人男性の勃起した姿というのも特筆すべき点でしょう。

今回、駕籠真太郎の作品を文章で書き出す事の難しさと愚かさを痛感しました。本作はどのエピソードも駕籠真太郎の魅力が詰まっていますので、とてもおすすめです。

・石川次郎「チンコマン」
石川次郎「チンコマン」2009年自費出版

さて、4作品目にして石川次郎の自費出版から「チンコマン」を紹介しましょう。自費出版ではありますが石川次郎は87’にガロでデビューした漫画家です。長年、鬱病との闘病生活をしていましたが近年は「キッチュ」で作品を発表していたりと精力的に活動しています。本作は中野ブロードウェイに店舗を構える「タコシェ」さんで見かけて、一目ぼれして購入した漫画になります。「さしみが選ぶ2014年のマンガオブザイヤー」で堂々1位を獲得したのも記憶に新しいです笑。

主人公であるチンコマンは身体は人間ですが頭は亀頭そのもののフォルムをしています。そして股間から長く伸びたちんこは時に武器にしたり、時に汗を拭いたり、時にご飯に精子をかけたりと器用に使いこなします。しかし、ちんこがちんこを…。いやいやこういった類の漫画にツッコミは厳禁です。考えるな、感じろといった作品ですので、興味がある方はその事を頭に入れて読んでください。

ちんこなのに格好いいって卑怯だよね。

そもそもチンコマンは何処からきて何が目的なのか、悪なのか正義なのか。読み進めていく上で疑問がどんどん浮かんでくるのですが、石川次郎の独特なタッチと小気味いいテンポにそんな疑問はすっ飛んでしまいます。ハードボイルドな性格の様ですが、少し抜けてるところがあるチンコマン。とにかく格好いいし、笑えるし、癖になる。多くを語るよりもただただ読んで欲しい、そんな漫画です。

・阿部洋一「それはただの先輩のちんこ」
阿部洋一「それはただの先輩のちんこ」 2018年太田出版刊

5作品目は阿部洋一「それはただの先輩のちんこ」です。作者の阿部洋一は「血潜り林檎と金魚鉢男」をはじめ、筆のような太い線で可愛い女の子が奇妙な世界を過ごす独特な作品を描いています。そんな阿部洋一でも異色な作品が本作となります。男のちんこを切断してもまた生えてくる世界。東堂サトシ先輩を好きになった女の子、坂下は先輩の全て…ではなく一部でいいから常に手元に置きたいと考えていました。そして彼女はギロチンのついた小便器を使って、先輩のちんこを切り落とす事に成功するのです。

捕獲した先輩のちんこに「サトシ」と名付けてお茶をしたり音楽をきいたりと楽しい日々が続きます。しかしある日先輩のちんこは先輩の方角へと歩き始めるのです。それは帰巣本能によるもので、必死に引き止めますが凄い力で帰ろうとするのです。なんとか縛り上げて阻止することはできたのですが朝起きると姿がありません。

彼女は町中を駆けずり回って先輩のちんこを探しますが、見つかった時は車に引かれた「ただの先輩のちんこ」だったのです。

その後、東堂先輩と先輩のちんこと坂下ちゃんの関係はあることをきっかけに大きく揺れ動きます。彼女は取り返しのつかない過ちを犯していたことに気づき、勇気を出して一歩を踏みだすのでした。そして先輩のちんこは最後に…。

なんかすごくいいシーンだよね

本作で描かれているちんこは先ほど紹介した4作の中でもっとも自我が弱く、小動物のような存在として扱われています。時として愛玩動物として扱う女の子も現れたり、彼氏の浮気性を治すためにちんこを切断したりと、ちんこ一つとっても様々な扱い方があるのだと感心しました笑。

また本作で重要なのが「ちんことは何か」をテーマにオムニバス形式で色々な視点で描いている事です。男とちんこは別々の生き物なのか。ちんこを無くした男は男なのか。ちんこが好きというのは「ちんこ」が好きなのか、「その人のちんこが好きなのか」などなど。何度か読み返していくと案外と深いテーマを扱っていると気づきました。

コレクターとしてちょっと興味があります

もっと深く掘り下げて紹介したいのですが、特に本作を読んでいただきたいので歯切れのわるい感じになってしまいました。ですが、この不思議な読後感を皆さんにも味わっていただきたいので、少しでも読んでみたいと思いましたら手に取っていただきたいと思います。

ということで、今回は「ちんこ漫画」を特集させていただきました。この記事を書くにあたって読み返してみましたがどれも面白く読ませていただきました。ちんこになじみ深い人も深くない人も、興味が出てきた方はチェックしてみてください。

今回はここまでです。

また次回をお楽しみお待ちください。

店主さしみ

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