特集「サントラの魅力」

皆さんこんにちは
店主のさしみです。

お待たせしました、いやお待たせし過ぎたかもしれません。

前回の「山田花子特集」から約3週間。その間に不眠や仕事と戦いながら記事をまとめてきました。あと、ODD TAXIと全裸監督を観てたのはココだけの話です笑。

色々と言い訳を連ねてみましたが、本当の所は今回取り上げる「サントラ」を調べていくうちに止まらくなくなり、まとめるのにお金と時間と労力を滅茶苦茶消費したという事です。とても奥が深いテーマだったもので、まだまだ調べ切れていないのというのも本音なのですが、ここで一区切りを付かないとブログの存続自体が危ぶまれてしまう事になりそうなのです笑。

閑話休題

それでは、サントラの魅力についてお話していきましょう。

★サントラとは?

「サントラ」とはゲーム、映画、アニメ、ドラマなどの作品には欠かせない音楽(主題歌)や効果音のことを指します。それではそもそも「サウンドトラック」とは何なのか、大辞泉から引用すると以下のように書かれています。

映画のフィルムの縁にある録音帯。音声、伴奏音楽・効果音だどを記録する細い帯状の部分。またそこに録音されている音楽や音声のこと。さらにその音を収録してCDなどにしたアルバムのこと。

デジタル大辞泉「サウンドトラック」より

みなさんも「サントラ」という言葉を耳にしたり、目にしたりするとほとんどが映画やゲームのBGMを想像することでしょう。先程の引用文にもありましたがサントラの原点は「伴奏音楽」にあります。伴奏音楽はミュージカルやオペラ、バレエで演奏される音楽のことです。舞台の前に客席より低い位置にオーケストラボックスがあり、そこで演奏されたりします。日本で言えば歌舞伎や能は演者の後方にお囃子がいます。

★映画と音楽

まずは映画と音楽の関係についてお話しします。映画というものが登場した当時は音声や音楽が収録されていない、いわゆる「サイレント映画」でした。サイレント映画と言ってもオペラや舞台と同じようにオーケストラが場面場面に合わせた音楽を奏でていました。日本では活弁士が物語の説明や観客を煽って盛り上げていました。

もともと映画は1893年にフランスのリュミエール兄弟が「シネマトグラフ」を発明したことから始まります。同時期にトーマス・エジソンが「キネトスコープ」を発明していましたが、リュミエール兄弟の「シネマトグラフ」はスクリーンに投影する方式だったため、大画面を大人数で楽しめる事から今日まで続く映画のスタンダードとなりました。

映画「リユミエール!」の予告編より。世界初の映画「工場の出口」

映画のために制作された音楽はシネマトグラフが発明されてから15年後の1908年に公開されたフランス映画「ギース公の暗殺」が最初だと言われています。作曲はフランスの巨匠「カミーユ=サン・サーンズ」との事です。そして1920年の前半には「トーキー映画」が発明されて一気に映画音楽は発展することになります。

第二次世界大戦が終結すると、それまでのオーケストラによる壮大な音楽から大衆音楽を用いる作品が増加していくことになり、映画は見たことがなくても音楽は知っているという人が出てくるほど、映画と音楽の関係は深いものになっていくのです。

★ゲーム(コンピュータ)と音楽

サントラといえば映画などの映像作品だけではありません。ゲーム(コンピュータ)においても音楽は重要な位置を締めているのです。

こちらも映画と同様に実際にプレイをしたことはなくても聞いた事があるというゲーム音楽がいくつもあるほど一般的に認知されています。そもそもゲーム音楽はコンピュータの近くに置いてあったラジオがコンピュータのノイズを拾ったのがきっかけでした。同時期にはコンピュータに取り付けられたブザーが発するビープ音も楽器として使用されたそうです。ビープ音は通常、プログラムの終了時の通知音や警告音として利用することを目的に取り付けられた所謂ブザーの事です。

このブザー音(単音)をプログラムで音色(波形やデューティ比、音量など)を調整していくことで音階や音色が生まれ、コンピュータは楽器へと進化することになるのです。

コンピュータによる音楽の歴史は戦後すぐに始まります。世界初のコンピュータ音楽については諸説ありますが、今回は田中治久「チップチューンのすべて」を参考にお話いたします。

参考文献:田中治久「チップチューンのすべて」誠文堂新光社(2017)

史上初めてコンピュータで音楽が奏でられたのはエーカット・モークリー・コンピュータ・コーポレーション(EMCC)がノースロップ社向けに1949年に納入したBINAC(Binary Automatic Computer)でした。このBINACは世界初の商業コンピュータだったのですが機能が制限的で使い勝手が悪かった事からすぐに使用されなくなってしまいました。結局、BINACはノースロップ社からある大学へと移動して学術研究用として使用されることになります。

そんなBINACですがEMCCの技術者「ホルバートン」はBINACの検証テストの前日に行われたパーティでBINACへ入力した音楽プログラムが最古のコンピュータ音楽と言われています。ちなみにBINACは音を発する機能がなかったのですが、動作チェック時、近くに置いてあったラジオにノイズが入ることに気づき、そのノイズを利用して音楽を流していたというから凄い発想です。またパーティーで演奏された曲は「For He's a Jolly Good Fellow(彼はいいやつだ)」で、これは米英でお祝い時に歌われる曲だったそうです。

技術史としても重要な世界初の商業コンピュータ「BINAC」

BINACと同じ時期にオーストラリアで同国初となるデジタルコンピュータ「CSIR Mk.1(CSIRAC)」が産声を上げました。BINACとは異なり、ブザーが備われていたため、特定のレジストリがONになるとビープ音を発する事が出来ました。それを利用して「トルヴァ・パーシ」はレジストリを高速でON/OFFすることによって音階を作り出していたとの事です。

★補足

WIREDの記事で1947年にアラン・チューリングがプログラムしたというコンピューター音楽の音声ファイルがありましたので参考までに聞いてみてください(リンク先はSoundcloud)。

https://soundcloud.app.goo.gl/kZ8uo

※前述では1949年が世界で初めてコンピューターで音楽が奏でられたという記述がありますが、諸説あるためご容赦ください。

時代は進み、1970年代に入るとコンピュータに大きな技術革命が起こります。それは回路の集積化でした。
回路を集積することによって今まで膨大で巨大だったコンピュータの部品が親指大のチップに収まることになったのです。今まで1部屋ほどのコンピュータが机の上における大きさになり、かつ価格も個人が購入できる程になってきました。

世界初の商業マイコン「Intel 8080」

そんな中、アタリ社のノーラン・ブッシュネルは1972年に「PONG」というゲームをゲームセンター向けに販売を開始しました。当時はビデオゲームというものは全く無く、ピンボールなどのエレメカが全盛の時代でした。エレメカのゲームはソレノイド等を駆使して派手な音を奏でていたことから、「PONG」でもボールが壁に当たるときに効果音が出るように工夫していたのです。

大ヒットとなったアタリ「PONG」

「ビデオゲーム」という目新しさとシンプルなゲーム性に注目が集まり、「PONG」は大ヒットとなります。「PONG」のヒットを受けて様々なメーカーが参入し、ビデオゲーム史上は一気に花開く事となりました。日本では1978年にタイトーが「ブロック崩し」からヒントを得て開発した「スペースインベーダー」が大ブームを起こしました。「スペースインベーダー」はゲーム性に加えてゲーム音楽も注目されてた記念碑的な作品です。その後、ギャラクシアン(79年)、パックマン(80年)、ニューラリーX(81年)、ゼビウス(83年)とゲーム性だけでなく音楽としても注目が集まる事となり、1984年にYMOの細野晴臣プロデュースの「ビデオゲームミュージック」が発売されることになりました。

このレコードが世界初のゲーム音楽のアルバムとなるのです。初週売上が7000枚、最終的には10万枚を超えるヒットとなり、日本においてゲームは音楽的にも重要な位置を占めるようになります。

そして1985年、知らない人はいない伝説的なゲームが任天堂より発売されました。それは「スーパーマリオブラザーズ」です。老若男女楽しめるシンプルで奥深いゲーム性はもちろん、一度聞いたら耳に残るゲーム音楽も「スーパーマリオブラザーズ」の魅力の一つだったのです。このメインテーマ曲は様々なレコード会社から企画盤が発売され、35年以上たった現在でも耳にするほど浸透しています。

知らない人は居ない大ヒット作「スーパーマリオブラザーズ」

そして1986年には「ドラゴンクエスト」が発売され、こちらも日本人には耳馴染みのあるテーマソングとなっています。作曲はGSの「ワイルドワンズ」や沢田研二のプロデュースで活躍した加瀬邦彦が担当しています。耳に残り、かつ冒険の気分へと高揚させるフレーズはゲーム音楽を大きく前進させたとも言えるでしょう。

ゲーム音楽はゲームの進化とともに歩んでいき、チップチューンという新たな音楽ジャンルを生み出すことになりますが、これはまた別の機会にお話します。またゲームの1ジャンルとして隆盛を極めた美少女ゲームの音楽についてもお話したいのですが資料不足の為、また今度じっくりとお話したいですね。残念。

さて、現在では映画やゲームのサントラは当たり前の存在で、グッズの定番となっています。それではサントラの魅力とはなんなのか、さしみ目線でご紹介させていただきましょう。

★サントラの魅力 ①「思い出再生装置としてのサントラ」

サントラの魅力、まずは1つ目。

それは時と場所を選ばない思い出再生装置としてサントラは活躍します。感動的な映画やゲームの1シーンに流れる音楽。これを聞けば一瞬で脳裏にそのシーンを思い浮かべることになるでしょう。映画やゲームはそのシーンをもう一度見るためには(そうでない場合もあるが)一苦労です。しかしサントラであればラジカセにCDをセットしたり、スマホで検索すればすぐに再生することが出来ます。音楽を流してそっと目を閉じればあのときの感動がすぐさま呼び起こす事ができるのです。もちろん、それは電車の中だったりお風呂だったりと自分のお気に入りの場所で聞けるのも魅力です。好きな作品であるほど容易に場面を思い出すことが出来るので、作業や移動をしながら作品を楽しむことも出来ます。

また、同じ作品が好きな者同士の間では体験の共有も簡単にできます。同じ作品が好きな者同士が集まった場所でその音楽をかければ盛り上がること間違いないでしょう。それはカラオケで最も効果的に作用し、主題歌のイントロが流れてくるだけで盛り上がるので、とても手軽な盛り上げ装置として重宝します笑。

特に小学生に放映してたアニメの主題歌は盛り上がる
★サントラの魅力 ②「気分に合わせたBGMとしてのサントラ」

サントラはその作品のシーンを効果的に視聴者へ伝えることを目的としています。その時の自分の気持ちに合わせて脳内で流すBGMを思い浮かべると、日々の生活がまるで映画やゲームのように思えてくるかもしれません。

例えばミュージカル映画「雨に唄えば」で主人公ドンが制作に行き詰っていた映画をミュージカルに変更するというアイディアを思いつき、一気に気持ちが高揚した時に雨の中、傘を差さずに歌い踊った「Singin' in the Rain」ですが、梅雨が明けない今こそ煮詰まっていた仕事が終わった時、「Singin' in the Rain」を口ずさみながら笑顔で歌い、踊るのも悪くないでしょう!あ、でもこの曲は「時計じかけのオレンジ」のレイプシーンでもアレックスが口ずさんでいましたね笑

「Singin' in the Rain」と聞いてどっちの映画を思い浮かべましたか?

また、仕事の中で仕事が上手く行ったときは、ファイナルファンタジーの敵を倒したときに流れるファンファーレ「勝利のファンファーレ」が頭の中をこだまする人もいるでしょう。個人的にノリに乗って作業をしている時はF-ZEROの「MUTE CITY」がオススメです。トラブルが発生したり巻き込まれた時はSFC版Simcityの「Alert」を聞いて緊張感を高めましょう。

災害発生時に流れるサイレンも緊張を誘う

このようにサントラを聞くのも良いですし、頭の中で再生するのも良いので日常のシーンに合ったBGMを流してみると面白いので是非試してみてください。

★サントラコレクション紹介(一部)

さて、話は代わりましてここららは私のコレクションをいくつか紹介します。今回、この記事を書くにあたって買ったものも含めて紹介できたらと思います。

・ナムコ「ビデオゲームミュージック」
こちらはゲーム音楽の項でも登場した世界初のゲーム音楽のレコードです。今回、サントラを取り上げた事から急遽ヤフオクで購入しました笑。1984年発売のもので、今から40年近く前の作品となっていますがチープですがとてもキャッチーなメロディが小気味いい感じです。YMOの細野晴臣がプロデュースしていることもあり、音楽作品としての評価も非常に高いものとなっています。残念ながら当時のゲームはプレイしたことがないのですが、なぜか知ってる曲があったのが驚きでした。

ただのピコピコ音じゃない音楽になったゲーム音楽

・ガーディアンズオブギャラクシー「AWESOME MIX VOL.1」
2014年に公開したマーベルコミック原作の映画サントラ。劇中に流れるBGMとして70年代にヒットした音楽がふんだんに使用されて、映画音楽としても注目が集まりました。個人的に映画のサントラというより、70年代の洋楽ベストという扱いで聞いています。捨て曲が1曲も無い見事なベストアルバムです。また、劇中では主人公の持ち物としてカセットテープという形で登場するのですが、きちんとカセットテープで販売しているのがコレクターとしては非常に嬉しいものです(といってもこの映画にそれほど思い入れがあるわけでもないのですが・・・)。

邪な気持ちで買ったサントラテープ。ごめんなさい…

・ピンクパンサー Part4「ピンクパンサーのテーマ」
これはレコード屋で7インチを漁っていたときに見つけた1枚です。たしか100円だかなんだかで売っていたので特に思い入れがあるわけでもなかったのですが、いつの間にか手に取っていたという記憶があります。このテーマソングはバラエティのコントなど泥棒シーンで必ずと言っていいほど使用される曲ですので、映画そのものよりも有名でしょう。またメインアイコンとしてピンク色のヒョウのキャラクターも非常に有名ですね。怪しい雰囲気のサックスから始まり、一気に盛り上がる所がとてもジャジーで好きな曲です。

曲の認知度より映画を見た事がある人が圧倒的に少ないかもしれない

・ミステリー金田一バンド「金田一耕助の冒険」
このLPは今まで紹介してきたサントラとは毛色が違います。一見、角川映画のサントラかと思うかもしれませんが、実は映画ではなく横溝正史の原作小説からインスピレーションを受け、作成された企画盤となっています。一見キワモノのようですが、作曲の担当が高田弘、成田由多可、羽田健太郎と数々の映画音楽を手掛けてきた巨匠たちで、海外でも非常に高い評価を得ている一枚となっています。

ジャケットからして素敵。サントラか微妙だけど

・ロッキー・ホラー・ショー
さしみお気に入りの映画の一つである「ロッキー・ホラー・ショー」のサントラです。1974年に公開されたミュージカル映画で、局長はロックンロールなので聞いてるだけでノリノリになれる一本です。しかし残念ながら盤面Exと記載されているのを信じてネットで購入したものの、反りというか溝が出来ていて針が飛んでしまうという。自分の目では確認できないネット販売の闇を感じた一枚です。
しかし、コレクター目線からするとピクチャーインレコードなので、ターンテーブルの上を回転しているだけでなんか嬉しくなってしまいます。

毎年開催される上映会に行きたい!

・ファントム・オブ・パラダイス
こちらもさしみお気に入りの映画です。ロッキー・ホラー・ショーとは双璧をなすカルトムービーとしても有名です。ロッキー・ホラー・ショーとは違い、ノリノリというよりも愛や悲哀などが歌われているのが特徴です。ラストシーンに向けてどんどん大衆が狂っていくシーンは音楽も相まって気味の悪さを感じるとても良い映画です。あと、ヒロインのフェニックスがめちゃくちゃ可愛いので注目して見てください。

とにかくフェニックスが可愛いんだ

・時計仕掛けのオレンジ
これは以前、カセットテープの回で紹介した「Waltz」さんで見つけた一本です。時計じかけのオレンジのオレンジもカルト的な人気がある作品ですが、私もご多分に漏れず大好きな1作となっています。
本作の音楽はベートーベンの「交響曲第9番」やエドワード・エルガーの「威風堂々」をシンセサイザーなどの電子楽器を使用してアレンジした曲を使用しています。クラッシクと電子楽器による奇妙なアンバランスさが近未来世界で暴力的な若者たちを描く本作にピッタリで、この映画にしてこの音楽ありと言いたくなるほどの出来栄えです。また、アレックスが不敵に笑う顔のアップから始まるオープニングに流れる「時計じかけのオレンジ テーマ曲」はこの映画の象徴とも言うべき不安と不満と暴力に満ち満ちたおどろおどろしい曲調になっています。気になった方は映画と一緒にチェックしてみてください。

今回聞き返した所、テープが伸びてました泣

・SimCityシリーズ(おまけ)
私はRPGや格闘ゲームをほとんどプレイしてこなかったのですが、シミュレーションゲームはとても好きで、未だにプレイすることがあります。そのうちの一つとしてスーパーファミコン時代からプレイしている「SimCityシリーズ」です。都市シミュレーターとしては最も有名な同作ですが、ゲーム性もさることながらBGMの評価が非常に高いのも魅力の一つです。SimCityは一度プレイを始めると最低数時間はパソコンの前から移動できない特性から作業に集中しやすく、かつ何度聞いても飽きないBGMが求められます。ですから流れてくる曲はジャジーなものからアップテンポな曲などジャンルは様々です。ゲーム以外の作業BGMとしても非常に優秀で、この記事を書いている今もBGMとして流しています。曲はゲームノバージョンによってそれぞれ雰囲気が異なるため、どのバージョンの曲が好きか、好事家の中では意見が分かれるのも面白いところでしょう。個人的には先ほど紹介したSFC版「Simcity」と次々作「「SimCity3000」がお気に入りです。

この他にもアニメや美少女ゲームなどまだまだ紹介していないサントラを持っているのですが、さすがに書ききれなくなってしまうので、そのうちに個別に紹介していきたいと思います。

サントラの歴史から魅力まで長々と語ってきましたがいかがだったでしょうか。
私が語った以外のサントラの魅力をご存知の方がいらっしゃいましたら是非、コメント欄やTwitterのスペース「隙間屋古書店 放送部」でお話いただければと思います。

それでは今回はここまで。
次回をお楽しみにお待ち下さい。

店主さしみ

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