【書籍紹介 #11】描き下ろし青春マンガアンソロジー「コミック焦燥」

皆さんこんにちは。


5/24に嘆きの天使などの作品を発表した「山田花子」の命日を迎えまして、本棚から引きずり出して読んでいるのですが、過去と今の自分とダブリすぎて読み続けるほどに吐き気をもよおしている店主さしみです。

さて、今回も1冊の書籍を紹介させていただきます。11冊目となる今回のタイトルは2002年に太田出版から出された「コミック焦燥」です。

早見純についても話したーい!


サブタイトルに「描き下ろし青春アンソロジーコミック」という記載がある通り、「青春」をテーマにした短編集となっています。

個人的にアンソロジーコミックって外れが多い印象があるのですが、本作は胸を張っておすすめ出来る本になっています。

まずは作家名と代表作を書き出してみたのでご覧いただきましょう。

「コミック焦燥」参加陣

・加藤信吉:国民クイズ、惑星スタコラ
・石原まこちん:The 3名様
・古泉智浩:青春☆金属バット、チェリーボーイズ
・松永豊和:バクネヤング、パペラキュウ
・いましろたかし:デメキング、ハードコア
・早見純:ラブレターフロム彼方、純の魂
・カイトモアキ:裸のふたり
・ツギノツギオ:スッタニパータ
・尾上龍太郎:モッちゃん
・吉本浩二:ブラックジャック創作秘話、ルーザーズ
・押見修造:悪の華、ぼくは麻理のなか

この中に一人は好きな作家さんがいるのではないでしょうか。どれも個性的な作風を売りにしている作家たちですね。
石原まこちんや、古泉智浩、吉本浩二、押見修造などは映像化された作品を発表していますし、特に押見修造は現在でも精力的に連載を続けています。

今回はこの中から押見修造が描いた作品「真夜中のパラノイアスター」をフィーチャーして行こうと思います。
まずは押見修造の簡単な経歴をまとめてみました。

押見修造

1981年群馬県桐生市生まれ。中学校2年生の頃に吃音を患い、それを題材に描いた「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」という作品がある。「アバンギャルド夢子」や「デビルエクスタシー」などを発表し大学在学中の22歳で結婚。大学を中退する。
その後、「惡の華」はアニメ化し一般的にも周知されるようになった。現在は「血の轍」を連載している。

私が押見修造に初めて触れたのが週刊ヤングマガジンで連載していた「デビルエクスタシー」です。サキュバスが人間社会で生き残るために「デビルエクスタシー」という風俗店を開店して男たちから精を絞り込み、そして人間社会の征服を睨むというストーリーでしたが高校生時分の私には色々と刺激的な内容で、そこからのファンです笑

特に「ぼくは麻理のなか」は「朝起きたら美少女に~」という思春期の男子が妄想する漫画かと思いきやクライマックスに向けてどとーの展開に目を見張った記憶があります。

さて、私の話は脇において本題に入りましょう。

何故、今回コミック焦燥の作品群の中から押見修造を選んだのかという所から説明いたします。
本作では「真夜中のパラノイアスター」が掲載されています。押見ファンでもあまり見たことがないかと思いますが、実はこれが押見修造のデビュー作なのです。

何故か表紙に名前がない押見修造

現時点ではどの単行本にも収録されていないので、紙の本で読むには「コミック焦燥」を手に入れる必要がありますが、太田出版の電子書籍「MANGA SINGLES」に収録されているので、気になる方はリンクから飛んでみてください

続いてあらすじはこちらです。

あらすじ

本作の主人公は30代でアルバイトで日々の生活を繋いでいる。彼は人との関わりを避けながら、うだつの上がらない日々を過ごしていた。

そんな彼は隠している秘密があるのだ。実は彼は超能力を持っていながらも封印しているのだった。


彼が物心がつくころ、飼っていた猫に引っかかれカッとなった瞬間の出来事だった。目の間の猫が爆散し、何が起こったのか理解できずに呆然としている主人公と、それを目の当たりにしてしまった母親の怯えた姿があった。それ以来人と距離を置く生活をすることになったのだが、最近彼には密かな楽しみができた。彼が働いているコンビニに入ってきた女子高生の小倉慶子だ。

優しさも罪なのだ

彼女だけは気さくに話かけてくれるので淡い恋心を抱いていたのだが、ふいに放たれた彼女の言葉に彼の心は大きく揺れ動くのだ。

ご覧のとおり絵は荒いですが、今のタッチの面影を感じられます。相変わらず女の子が可愛い。物語の館展開や主人公の心象描写がかなり激情的で、リビドー全開ですね笑

前立腺ぱーんち!を思い出す

うだつの上がらない主人公が屈折して、超能力があると思い込み、想いを寄せていた女子高生に手を出す。
これだけならどこにでもある(?)展開ですが、もう一捻りしているところが今現在の押見修造の片鱗を伺えます。

皆さんも大小あれど破壊衝動が炊きつく経験があるかと思います。なんだかそんな自分と主人公を重ねてしまうのは自分だけでしょうか?

そんな時にもし自分も超能力を持っていたらどうなったんでしょうか。

短い話ですがそんな想像をしてしまい、背筋がゾッとしてしまいました。

ということで、押見修造以外の作品も特殊な「青春」を扱った作品が収録されており、どれも非常に読みごたえがあります!

古本屋で見かけたら是非購入してみてください。

それでは次回をお楽しみお待ち下さい。

店主さしみ

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