【書籍紹介 #9】Philemon Stein著「MED -Medical engravings of the 19th century-」

みなさんこんにちは。

まだ5月だというのに梅雨に入ってしまい、本棚の本も湿気を帯びてる気がしています。

さて、先日鎌倉へ行ってきたのですが、たまたま通りがかった所に古本屋を見つけましてちょっと覗いてきました。意識せずに古本屋を見つけるとちょっぴり嬉しくなりますよね。

店名は「夏への扉」という、これからの季節にちょうどいい名前です。

お店は昔ながらのアパートの一室をリノベーションしたお店で、庭に向かってソファが置いてありのんびりとした空気が店内を満たしていました。取り扱っている本は美術系、建築などのデザイン本や音楽関係の本や文芸書などが充実していて鎌倉にぴったりな素的なお店でした。

また、営業時間は日没までといった所がとても面白いです。日が暮れたらお店で一杯するのが楽しみとの事でした。そんなスローライフを鎌倉で味わえるなんて羨ましいですね。

鎌倉に訪れた際は「夏への扉」へ足を運んでみてください。

古本屋「夏への扉」

住所:神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-7-7-103

営業時間:10:00~日没まで(季節によって変わります)

営業日:土曜、日曜

さて、本題ですが先ほど紹介した「夏への扉」さんで購入した本を紹介します。

表紙から好奇心をくすぐる

作者は「Philemon Stein」というスイスの作家です。本書は1974年にアメリカで発行された19世紀の医学書で描かれた銅版画を紹介するイラスト集となります。元々は医学書ということもあり、緻密に書き込まれたイラストはとても目を引くものがあります。本文はもちろん英語で書かれていますが、軸足はイラストですので文章の方はGoogle翻訳で十分です。

銅版画というのが19世紀当時、写真や印刷技術がまだ発展途上だった頃の名残を感じれてとても良いですね。また写真以上にイラストであるという事にこの本の魅力が伝わってくるかと思います。

本書は「PATHOLOGIA(病理学)」、「CHIRURGIA(外科学)」、「HYDRO ELECTROTERAPIA(水・電気療法)」、「MECANOTHERAPIA(機械療法)」、「TERATOLOGIA(催奇形症)」の5章で構成されています。

まずは「PATHOLOGIA(病理学)」ですが、「病理学」は病気の発生メカニズムを研究する学問です。ですので、病気に罹患した患者を緻密に描いています。

陰嚢象皮病患者

カリブ海のセントキッツ島の島民ウィルクスの陰嚢が象皮病に罹患し重さ79kg、円周1m80cmまで肥大化してしまった際のイラストです。手術によって患部を除去しようとしたものの、8時間にもわたる手術に加え、静脈出血を起こし死亡したとの事です。日本には「タヌキの八畳敷き」というものがありますが、実際、股間に79kgの塊があるなんて全く想像できませんが、健康に日常を過ごせたとのことです。

続いて「CHIRURGIA(外科学)」から紹介するのが膀胱結石の手術風景です。

不安そうな顔と縮み上がったナニが恐怖心をあおる

結石は現代においても尿酸値が高い人は他人事ではない病気ですが、現代医療では薬で散らすか超音波によって破壊する治療法が確立しています。このイラストを見てみると陰茎に棒のようなものを突っ込み、棒のお尻にめがけてハンマーで叩こうとしています。これは膀胱を切りひらかず結石を粉砕して自然に排出させるという方法との事ですが、想像するだけで手に汗がにじみます・・・イラストの男性の表情も非常に不安そうな顔をしていますね。当時はすでにクロロホルムを使った麻酔もあったそうですが、一般的だったのでしょうか。

3つめは「HYDRO ELECTROTERAPIA(水・電気療法)」から電気風呂を紹介します。

なんの病気の治療かは不明。

電気風呂はスーパー銭湯でもよく見かけるものですから、なじみが深いかもしれません。しかしこのお風呂は決定的に違う点が一つあります。それは風呂桶に満たされる水は化学溶液で、身体に鉄や水銀、リチウムを含侵させることを目的としていることです。水銀とリチウムは重金属ですから身体に良いはずがありません、それを電気で含侵させるとはまるで皮膚をメッキしているのでしょうか。

痛々しいものが続いたので、「MECANOTHERAPIA(機械療法)」ではすこし面白いものを紹介しましょう。

デザインもまた素敵

こちらの機械は現代人も抱えるコリをほぐしてくれるマッサージ機です。動力源は描かれていないので不明ですが、19世紀という時代を考えると蒸気だと思われますが蒸気機関のマッサージ機とはなんだかスチームパンクぽくて良いですね。動力源からベルトやウォームギアを介して複雑なリンク機構で背中を押すという構造になっているようです。私も慢性的な肩こりなので是非試してみたい機械です。

そして最後は「TERATOLOGIA(催奇形症)」から2枚のイラストを紹介します。まず1枚目はシャム双生児です。

シャム双生児はそれほど珍しくないらしい

以前、ブラックジャックの記事でも紹介しましたがシャム双生児とは母胎内で一卵性双生児が成長する際に分離できずに生まれてしまう症状と指します。こちらの男性は胸部にもう一人が寄生している状態で、このように頭や手足が明確に残っているのは珍しく「ヘテロパジア」と呼ばれていると記載されています。残念ですが、胸部に寄生しているもう一人の男性(?)は生きてないとの事でした。

最期に紹介するのがこちらです。1815年にパリの医学会で発表された、あごひげをはやした女性、マリー・マドレーヌ・フォーです。

第一印象だと普通のおじさん

本文には詳細な記載がないので、初めて見たときはただのおじさんに見えましたが「男性的な特徴と女性的な特徴の両方を示している」と書かれていたのでひげが生えているが、胸や性器は女性のものだったのでしょうか。

その他にも紹介したいイラストは沢山あるのですが、なかなか掲載しづらいモノだったりするのが残念でなりません。一枚のイラストとしてもさることながら、19世紀時分の医学を知ることが出来る素晴らしい本でした。

みなさんもどこかで見かけたら是非、手に取ってみてはいかがでしょうか。

では、また次回をお楽しみお待ちください。

店主さしみ

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