「旅するつげ義春」#1 「千葉県 大海・大多喜」

皆さんこんにちは。

店主さしみです。

今回は「旅するつげ義春」と題して、つげ義春の作品とゆかりのある土地について紹介していこうと思います。
当ブログの読者であれば「つげ義春」と聞いて知らない人はいないと思いますのでつげ義春の紹介は割愛させていただこうと思います。最低限の基礎教養ですよね笑。

昨年の2月に、つげ義春好きがたたって一人でゆかりの地を回ってきました。いわゆる聖地巡礼です。ちなみに一人旅というのはつげ義春をリスペクトしているのであって、付き合ってくれる友人や恋人がいないという事ではないと強調させていただきます。

●昭和の雰囲気が色濃く残る漁村「大海」

さて本題に入っていきましょう。
まずはじめに紹介するのは千葉県鴨川市にあります「大海」です。JR東日本内房線の「大海駅」から徒歩10分ほどに位置する漁港が目的地です。

こじんまりとした、のどかで昭和の香りが色濃く残る漁村です。近くには名勝として「仁右衛門島」という小島がありますが、つげ義春ファンにはそこには目もくれずに真っ先に向かっていただきたい場所があるのです。

まずはこちらを見ていただきましょう。これはつげ義春の代表作「ねじ式」に登場した蒸気機関車が民家を縫って走り抜けるワンシーンです。このシーンのモデルになったのがここなのです。
これはエッセイ「つげ義春とぼく」で、つげ本人が撮影した写真ともに回想しています。

つげが撮影した当時の大海。ねじ式の世界そのまま

どことなく面影が残る

実際に私が撮影した写真と比較してみると、木造の掘っ立て小屋は文化住宅になってしまいましたが、家の角度や手前のモルタルの壁から名残を感じられますね。そして階段の右側には記念プレートに蒸気機関車のページが貼り付けられています。ちなみに「つげ義春氏の作品」と書かれたプレートをよく観察してみると「春」の箇所がシールになっているのがわかります。これは数年前までは「春」を「晴」と間違えられていた名残なのです。そいう所も注目ポイントなので、訪れた際には必ずチェックしておきましょう。

よーく見てみると「春」がシールになっている

小さく鄙びた漁村ですが、令和の現在でもつげ義春が描いた世界を醸し出しているこの大海は、つげ義春を馳せながらゆっくりと散歩するだけでも浸れる素敵な場所でした。

●つげ義春の名作を歩く「大多喜」

続いて紹介する場所は「大多喜町」です。

先程の大海の漁村とは打って変わって森林豊かな山間にある街です。この大多喜が舞台に数々の名作が生み出されているのはご存知でしょうか。

まずはこの街が舞台やヒントになった作品ですが、「紅い花」、「沼」、「西部田村事件」、「初茸がり」です。「紅い花」はNHKドラマにもなったりと「ねじ式」にならぶつげ義春の傑作ですね。

大多喜についても先程紹介した「つげ義春とぼく」で白土三平とのエピソードを交えて紹介していたりします。


まずは「沼」と「西部田村事件」のモデルになった「蟹取橋」を紹介しましょう。大多喜駅から徒歩で10分ほどに位置している蟹取橋は夷隅川をまたぐように建っています。下流側を見ると堰堤が目に入ってきますが、この堰堤にある杭穴が「西部田事件」で病院から脱走した青年が足を落としてしまった場所なのです。そしてこの穴は白土三平がつげ義春と釣りをしているときに足を落とした穴であるというのがエッセイでも語られています。

奥に見えるのが堰堤
沼ではないけど雰囲気が似てる?

そして反対側の上流側を覗いてみると、両岸には木が生い茂り、川の流れがとてもゆるやかな事からなんとなく沼にも見えます。お気づきかもしれませんが、ここが「沼」のモデルと言われているのです。

ちなみに白土三平とつげ義春が2週間ほど滞在した寿恵比楼旅館は蟹取橋の近くにあったのですが、現在は建物も取り壊され見ることが出来ません。
この旅館で隣に泊まっていた女性が「ええい腹がツッパル!」と言ったことが、紅い花で登場した「キクチサヨコ」の独特な話し方として登場するのですが。また、月の光が当たっている場所だけ雨が見えた風景が元になり「初茸がり」のワンシーンへとつながっていくのです。

話を「西部田村事件」事件に戻すと、青年が抜け出した病院も実際にモデルになった場所があります。蟹取橋から車で5分ほど行った場所にある「大多喜病院」です。本当に「西部田村事件」は大多喜が舞台になっているということが実感できますね。

訪れた日は抜け出した青年には出会わなかった

その他、千葉の袖ケ浦市には「やなぎや主人」のモデルになった「よろずや」さんがあるのですが不定休らしく、当時も食べることは叶わなかったです。

今回は千葉県をまわりましたが、コロナが落ち着いたら本を片手に伊豆や東北の秘湯めぐりもしたいですね。

では次回をお楽しみください。

店主さしみ

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