【書籍紹介 #7】マンガ奇想天外「パロディ・マンガ大全集」

みなさんこんにちは
店主のさしみです。

最近は「睡眠」に重点をおいて生活をしているのですが
早く寝る分、プライベートの時間も短くなってしまいジレンマに陥っています。
皆さんの睡眠時間はどのくらいでしょうか。

さて、今回は奇想天外社から発行された「マンガ奇想天外 臨時増刊号 パロディまんが大全集」を取り上げて、パロディマンガについてお話していこうと思います。

漫画におけるパロディは90年代くらいまでは良く見られた気がしますが、最近はあまり見かけませんね。よく間白に「〇〇先生ゴメンさない~!!」と手書きで書かれてた記憶があります。

最近はパロディというより「2次創作」という言葉が主流なんでしょうか。

◎「パロディ」とは

ということで、そもそも「パロディ」とはなんなのかについて調べてみました。

◆パロディ

衆知の作品や有名作品の表現を誇張したり、もじったり、模倣したりなどして面白く作り変えたもの。(参考:広告用語辞典)

と書かれています。同様の言葉で「オマージュ」というものがありますが、オマージュは敬意が込められるだけで面白さは必要では無いとのことです。

他作品を要は皮肉や誇張、もじりを加えて表現するということですね。

「パロディ」を行うためには元となる作品が必要です。
さらにその元ネタを知ってる人がいなければパロディとして成立しません。
パロディマンガというジャンルが生まれるということは、元ネタがある程度の人数へ浸透してきた証拠で、文化として成熟し始めたとも言えます。
個人的には70年代後半からそういった文化を楽しむ土壌が出来上がり始めたという事になりますね。

それを裏付けるのは大学の漫画サークルの勃興や日本SF大会コミックマーケットの開催などが挙げられると思います。
特にコミックマーケットは現在、世界で一番人が集まるイベントとしてマニア以外にも衆知される事になっていますが第一回は今から46年前の1975年に開催されました。

また日本SF大会はさらに歴史は長く、1962年5月27日に第一回大会を開催したとのことです。後々伝説となる1981年に大阪で開催されたDAICONⅢについてはまた後ほどご紹介します。

続いて「パロディ」を取り入れたマンガを思いつく限り挙げてしました。

・江口寿史「すすめ!!パイレーツ」
・魔夜峰央「パタリロ!」
・吾妻ひでお「不条理日記」
・かわいかずお「パチ漫」
・田中圭一「神罰/神罰1.1」
・竹熊健太郎×相原コージ「サルでも描けるまんが教室」
・吉崎観音「ケロロ軍曹」
・木多康昭「幕張」
・浜岡賢次「浦安鉄筋家族」
・久米田康治「かってに改蔵」

江口寿史「すすめ!!パイレーツ」は1977年から1980年にかけて連載された作品で、他作品のパロディをふんだんに登場させ話題を呼んだ作品となっています。個人的に木多康昭の「幕張」は「すすめ!!パイレーツ」の直系的な作品だと思っていますがどうでしょうか。

また、吾妻ひでおは国内外のSF作品のパロディを随所に盛り込んだり、「不条理日記」であたかも存在しそうな架空のSF作品を登場させるなど、パロディをさらに一段階押し上げた記念碑的な作品となっていますし、田中圭一やかわいかずおはタッチ自体を模倣するというアプローチをしています。

◎パロディ漫画の弱点

パロディ漫画の弱点はただひとつ。先述もしましたが、ズバリ「元ネタを知らないと成立しない」ことです
元ネタを知らないとただのギャグとして捉えられるどころか、流れすら破綻させてしまうことがあるのです。

しかし「かってに改蔵」で久米田康治が語っていましたが、「笑いは範囲が狭いほど面白い」という面もあります。パロディはいわゆるマニア向けの笑いであり、知ってる人はとことん面白いが、知らない人はチンプンカンプン。そして笑いの範囲はどんどん狭くなっていき、ついには読者の大半がマニアしかいなくなってしまいます。

◎「DAICONⅢ」

1981年に大阪で開催された第20回日本SF大会がいわゆるDAICONⅢです。ここでオープニングムービーとして上映された1本のフィルムが未だに伝説として語り継がれているのです。
まずはその動画をみていただきましょう。

初めて見たのは大学の講義。ちょっと泣きそうになったのはいい思い出

ガンダムやヤマト、スターウォーズなどなど数えきれないほどの作品がまるでお祭り騒ぎのように次々と登場してきます。この作品を手掛けたのは後々アニメ業界を牽引する庵野秀明たちなのです。

この映像はアニメの歴史もそうですが、パロディ作品を語る上では外すことが出来ない1つです。
後年、このムービーはドラマ電車男のオープニングとしてオマージュされてるのも忘れてはいけません。

また余談ですが、オープニングムービーに埋もれがちですがDAICONⅢで「吾妻・いしかわ抗争」が終結したことも特筆すべき点でしょう。

◎マンガ奇想天外「パロディ・マンガ大全集」

さて、やっと本題である「パロディ・マンガ大全集」に移りましょう。

発行されたのはDAICONⅢが開催された1981年12月25日ということでまさにパロディの全盛期とも言えるでしょう。

まずは執筆陣を列挙しましょう。

・赤塚不二夫
・いしかわじゅん
・吾妻ひでお
・日野日出志
・新田たつお
・梶尾真治
・高信太郎
・野口雅之
・夏目房之介
・飯田耕一郎
・スノウチサトル
・佐々木けいこ
・つか絵夢子
・渡辺和博
・泉昌之
・鈴木みつゆき

有名無名を含めて15名の作家が寄稿しています。
私の浅い知識では7人ほどしか存じ上げないのが情けないところですが、「静かなるドン」の新田たつおや、「マンガ夜話」で解説をしていた夏目房之介が寄稿しているのがとても印象的です。

さて数多くあるパロディ作品の中でも異彩というか異臭を放っているのが、一部では有名な日野日出志「銅羅衛門」でしょう。元ネタは誰もが知っているあの青い狸です。

扉絵からヤバさが伝わる!

まずはあらすじを紹介します。

◎あらすじ

シャイアンにいじめられたのぶ太が銅羅衛門にひみつ道具をせがむ。すると銅羅衛門がのぶ太の貯金箱を片手に未来へ行き、持って帰ってきたのが「ミニ地獄マシン」だった。このマシンに写真を入れると小さくなった本人が出てきて、針山や血の池などいじめ抜くことができる素敵な道具だったのだ。早速シャイアンの写真を読み込ませると針を刺したり鋸で四肢を切断するなど非道の限りを尽くす。

さすがホラー漫画の巨匠日野日出志。おどろおどろしい雰囲気に元ネタも忘れて魅入ってしまいます。銅羅衛門の目が常に血走っているのが怖さを通り越して笑ってしまいます。この作品を今読むとまるで田中圭一のパロディ作品と勘違いしそうです笑。

原作には絶対出てこないひみつ道具

昨年ゴマブックスから全集のようなものが出たり、5月に未収録作品を集めた「日野日出志 あなたの知らない怪奇漫画集」が販売されることになっていますが、もちろん「銅羅衛門」は収録されることはありません。作者自身もこの作品についてあまり良く思ってないらしいので今後も収録される事はないでしょう。ですので読むにはこの本を手に入れなければなりません。
とはいっても比較的みかけますし、それほど高くない(1000~1500円程度)ので古本屋などで見かけたら手にとってはいかがでしょうか。

本当は「銅羅衛門」だけを取り上げるつもりが「パロディ」そのものを話初めてしまいました。もっと語るべきものはあるのですが今回はかなり割愛しました。いつか機会があればお話したいですね。

それでは次回をお楽しみにお待ち下さい。

店主さしみ

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