【書籍紹介】#5-2 上村一夫×岡崎英生「悪の華」後編(完)

みなさんこんにちは
店主のさしみです。

最近は徐々に暖かくなってきて春眠暁を覚えず…というわけにもいかず、色々と趣味に追い立てられる日々を過ごしています。

さて,今回は前回に引き続き上村一夫×岡崎英生「悪の華」について語っていきます。前回は作品の内容について紹介しましたので、まだ未読の方はコチラをご参照ください。

今回は「悪の華」と「とある作品」の共通点についてお話します。

その「とある作品」とは瀬口たかひろ「オヤマ!菊之助」です。
かつて週刊少年チャンピオンで連載されていた知る人ぞ知るお色気ドタバタラブコメディです。まずはこの作品について簡単にご紹介しましょう。

◆あらすじ

主人公「藤井菊之助」は歌舞伎の名門一座の息子で,女形の修行をするために父から命ぜられて「黒髪学園」という女学校へ転入することになる。そんな女の花園で持ち前のスケベ心を全開にアレヤコレヤの大騒動を起こす。

これを読んでいた小学生時分の私は,あまりの内容の過激さに(性癖へ)多大な影響を与えたものです。特に12巻の・・・・

閑話休題。

さて「オヤマ!菊之助」と「悪の華」にどんな共通点があるのか検証していきましょう。

①「黒髪」と伝統文化

悪の華では花矢木蘭之助は「黒髪流華道」の家元でした。
そしてオヤマ!菊之助では菊之助が女形修行の為に転入したのが「黒髪学園」です。まあこの位の共通点ならば日本人は黒髪が多い人種ともあって「烏の濡羽色」という比喩表現もありますし,美しい女性=黒髪という連想から似通っただけかもしれませんね。

②主人公の名前

共通点は一つだけじゃありません!主人公の名前を比較してみると見えてくるものがあります。
まずは「悪の華」の主人公は淫華帝国(いんかていこく)の猟奇の帝王こと「花矢木 蘭之助」です。そして「オヤマ!菊之助」の主人公は明るいフェミニストのスケベ野郎こと「藤井 菊之助」ですね。「蘭」「菊」、花の違いはあれど、明らかに蘭之助からとった様な名前じゃありませんか!?

花矢木蘭之介(左)と藤井菊之助(右)
この二人が並ぶことになるとは誰も思わなかったでしょう
③ヒロインの名前

そろそろ両者の共通点も見えて来たかと思いますが続いてはヒロインの名前を比較していきましょう。

「悪の華」では蘭之助の毒牙にかかってしまう儚い花のようなヒロイン「川端 小百合」。それに対して黒髪学園の風紀委員長で不埒を働く菊之助の天敵であり、負けん気の強い暴力系ヒロイン「時巻 葵」
こちらも両者ともに名前に「百合」「葵」と花が隠れてますね。

蘭、菊、百合、葵の花言葉はそれぞれ「愛情・美」、「高貴・高尚」、「純粋・無垢」、「大望・野心」といったところです。残念ながら花言葉からは共通点は見いだせないですし、オヤマ!菊之助のキャラクターとはマッチしてない感じがします。

特にヒロインからは時代の流れを感じさせますね
④作品性

そして最後のだめ押し(こじつけ)として、作品性に注目しましょう!悪の華は猟奇的で背徳な性を描いてきましたが、オヤマ!菊之助ではお色気ラブコメディなので、明るい性描写が多いです。雰囲気は違いますが、どちらも「エロい」という点では同じですね。しかも連載していた雑誌媒体がエロ劇画で(さしみの中で)未だ高い評価を得ている「漫画エロトピア」と、週刊少年雑誌で一番お色気が強い「週刊少年チャンピオン」ですから、これはもう同じ作品と言っても過言じゃないのではないでしょうか(笑)

ということで、「悪の華」と「オヤマ!菊之助」の意外な共通点について比較してみましたが、皆さんはどう思われましたか?

是非、両作品とも手にとって自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

それではまた次回を楽しみにお待ち下さい。

店主さしみ

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